ドイツには2万以上の城や宮殿が存在し、その多くは有名観光地から離れた場所にあります。この記事では、ラインラント=プファルツ州とノルトライン=ヴェストファーレン州を中心に、観光客が少ない穴場の古城4選を紹介します。
ノイシュバンシュタイン城やハイデルベルク城のような有名な城も素晴らしいですが、地元の人しか知らないような小さな城にも独特の魅力があります。実際に訪れた感想、歴史的背景、アクセス方法まで、現地在住者の視点から詳しく解説します。
ドイツの古城の魅力とは?

2万以上の城が存在する理由
ドイツに城が多い理由は、神聖ローマ帝国時代の歴史にあります。当時のドイツは300以上の領邦国家に分かれており、それぞれの領主が自分の領地を守るために城を築きました。
中世には戦略的要衝に防衛拠点として城が建設され、後にバロック時代には権力の象徴として豪華な宮殿が造られました。このような歴史的背景から、ドイツには多様なスタイルの城が各地に点在しています。
日本の城との3つの違い
ドイツの城と日本の城には、建築様式や用途に大きな違いがあります。
建材の違い:ドイツの城は石造りが主流で、何百年も原型を保っています。日本の城は木造が多く、火災や戦災で失われたものも少なくありません。
立地の違い:ドイツの城は丘や山の上に建てられることが多く、防衛と監視を重視しています。日本の城は平地や丘陵地に建てられることが多いです。
用途の違い:ドイツの城は貴族の居住空間でもあり、豪華な内装が特徴です。日本の城は武士の拠点として、実用性を重視した造りになっています。
ザールブルク城跡(Burgruine Saarburg)

基本情報とアクセス
所在地:ラインラント=プファルツ州ザールブルク
築城年:964年
現在の状態:城跡(廃墟)
入場料:無料
アクセス:トリーアから車で約30分
Google Maps:https://maps.app.goo.gl/2d1M6UEZHfi4B7m66
歴史的背景
ザールブルク城跡は、ドイツのラインラント=プファルツ州ザールブルクに位置する中世の城跡です。この城は、964年にロタール1世(ロレーヌ公)によって築かれたと言われており、建設当初は防衛のための要塞として機能し、ザール川とその周辺地域を支配する重要な役割を果たしました。
中世の間、ザールブルク城はその立地と防衛力の高さから戦略的に非常に価値がありました。周辺地域の領主や貴族たちの権力闘争の中で、城は幾度も攻防戦に巻き込まれ、そのたびに所有者が変わることもありました。
その後、時代とともに城の重要性は次第に低下し、17世紀には三十年戦争などの戦火や政治的な混乱により損傷を受け、荒廃していきました。18世紀になると城は放棄され、石材は近隣の建築物の建材として利用されるなどして、徐々に城の姿は失われていきました。
見どころと実際の感想
遠目から見たザールブルク城跡の美しさが印象的でした。崩れかけた石壁が丘の上に佇む姿は、長い歴史を物語っています。
城跡からはザール川を見下ろす素晴らしい景色を楽しむことができます。訪れた日は曇り空でしたが、晴れた日であればさらに素晴らしい眺めが期待できます。
観光客はほとんどおらず、静かに中世の雰囲気に浸ることができます。歴史愛好家や写真撮影が好きな方には特におすすめのスポットです。城跡周辺では地元の文化イベントが開催されることもあるため、訪問前に確認すると良いでしょう。
選帝侯宮殿(Kurfürstliches Palais)

基本情報とアクセス
所在地:ラインラント=プファルツ州トリーア
築城年:16世紀〜17世紀
建築様式:ロココ様式
現在の用途:行政施設
外観見学:無料
アクセス:トリーア中央駅から徒歩15分
Google Maps:https://maps.app.goo.gl/GnVjjornMuiMPFar7
歴史的背景
選帝侯宮殿の歴史的背景は、神聖ローマ帝国の時代に遡ります。この宮殿は、トリーア大司教であり選帝侯でもあった人物によって築かれました。
選帝侯は神聖ローマ皇帝を選出する役割を持つ有力者で、政治的・宗教的権威を兼ね備えていました。トリーアの選帝侯宮殿は16世紀から17世紀にかけて建設が始まり、ロココ様式を基調とした豪華な建築物として完成しました。
宮殿は大司教の住居や執務室として使用されており、当時の政治の中心地としての役割を果たしていました。宮殿のデザインには多くの芸術家や建築家が関わり、その豪華な装飾と細かい彫刻が魅力です。
時代を経て、ナポレオン戦争やその後の政治的変動を経て、宮殿の所有者や用途が変わりましたが、その壮大な外観と美しい庭園は現在も残っています。特に庭園は、宮殿のロココ建築と調和し、美しい景観を提供しています。
見どころと実際の感想
ピンク色の外観が非常に可愛らしく、写真映えする宮殿です。空の色、植物の色と宮殿のピンクが調和して、鮮やかな写真を撮ることができました。
宮殿前の広場は開放的で、地元の人々が散歩を楽しんでいる姿が見られます。庭園も美しく整備されており、季節ごとに異なる花々を楽しむことができます。
宮殿は現在も行政施設として使用されているため内部見学はできませんが、外観と庭園だけでも十分に楽しめます。トリーア観光の際には必ず訪れたいスポットです。
ベンラート城(Schloss Benrath)

基本情報とアクセス
所在地:ノルトライン=ヴェストファーレン州デュッセルドルフ
築城年:1765年〜1770年
建築様式:バロック様式
入場料:大人14ユーロ(宮殿+博物館)
開館時間:火〜日 11:00〜17:00(月曜休館)
アクセス:デュッセルドルフ中央駅からU74/U77で約20分
Google Maps:https://maps.app.goo.gl/oEcmUb9PW6MhqdE3A
歴史的背景
ベンラート城は、ドイツのデュッセルドルフに位置する美しいバロック様式の宮殿で、18世紀に建設されました。1765年から1770年にかけて、デュッセルドルフ選帝侯カール・テオドールの夏の離宮および狩猟用の館として建設されました。
この宮殿は、フランス人建築家ニコラ・ド・ピガージュ(Nicolas de Pigage)によって設計され、優れた建築と庭園の調和を見せる代表的なバロック様式の建築物です。
宮殿は、主に贅沢な貴族の生活を反映するように設計され、豪華な居住空間とともに広大な庭園を備えていました。これらの庭園は宮殿の美しさを引き立て、貴族たちが自然を楽しみながら散策や社交を楽しむための場として利用されていました。
歴史の中で、ベンラート城はさまざまな用途に使われ、第二次世界大戦後は公共施設としての役割も果たしました。現在では博物館として一般公開されており、訪れる人々は宮殿内の豪華な内装や美しい庭園を見学しながら、当時の貴族の生活や文化を垣間見ることができます。
見どころと実際の感想
ベンラート城もピンク色の外観が特徴的で、選帝侯宮殿とはまた違った魅力があります。宮殿の前には大きな池があり、水面に映る宮殿の姿が美しいです。
広場では多くの人が座って談笑しており、地元住民の憩いの場となっていることが分かります。家族連れやカップルが多く、のんびりとした雰囲気を楽しむことができます。
冬にはこの近くでクリスマスマーケットが開催されるため、その時期に訪れるのもおすすめです。宮殿内部の博物館では18世紀の貴族の生活を学ぶことができ、歴史好きには見逃せないスポットです。
シュパレンブルク(Sparrenburg)

基本情報とアクセス
所在地:ノルトライン=ヴェストファーレン州ビーレフェルト
築城年:1240年頃
建築様式:中世の要塞
入場料:無料(塔の見学は有料)
開館時間:10:00〜18:00(季節により変動)
アクセス:ビーレフェルト中央駅から徒歩20分またはバス
Google Maps:https://maps.app.goo.gl/LMbTbY6ewX5dSJBi6
歴史的背景
シュパレンブルクは、ドイツのビーレフェルトに位置する中世の城で、その起源は13世紀に遡ります。この城は、約1240年にルドルフ・フォン・シュパーレンベルクによって建設されました。
当初の目的は、地域の防衛拠点としての役割を果たし、重要な交易路を監視し、地域を統治するための要塞として使用されていました。シュパレンブルクは、リッペ地方の戦略的要衝として何世紀にもわたり重要な役割を担ってきました。
特に14世紀から16世紀にかけては、城の防衛力が強化され、塔や地下トンネルなどが追加されました。これにより、城は外敵からの攻撃に対する防衛力を向上させていました。
地下トンネルは、敵の奇襲や包囲戦に備えるための避難路として使用されていたと言われています。三十年戦争中(1618年–1648年)には、シュパレンブルクは幾度も攻防戦に巻き込まれ、損傷を受けることもありましたが、その後も修復を重ねて維持されました。
18世紀以降、城の軍事的役割は次第に低下し、遺跡として残されるようになりました。
見どころと実際の感想
シュパレンブルクは、ビーレフェルト市を見下ろす丘の上に建っており、城の塔からの眺めは圧巻です。市街地全体とその周辺地域を一望することができ、特に夕暮れ時の景色が美しいです。
城内には当時の歴史を学ぶことができる展示があり、ガイドツアーも行われています。地下トンネルの見学ツアーは特に人気で、中世の防衛システムを実際に体験できる貴重な機会です。
城の周辺は公園として整備されており、地元の人々がジョギングやピクニックを楽しんでいます。観光客も多いですが、混雑することは少なく、ゆっくりと見学できます。
ドイツの古城巡りのコツ

訪問のベストシーズン
ドイツの城巡りに最適な時期は、4月から10月の春から秋にかけてです。この時期は天候が安定しており、庭園の花々も美しく咲いています。
冬季(11月〜3月)は一部の城が閉館することもありますが、クリスマスマーケットが開催される城もあるため、冬ならではの魅力を楽しむことができます。
効率的な回り方
今回紹介した4つの城は、以下のようにグループ化すると効率的に回れます:
ルート1:ラインラント=プファルツ州
ザールブルク城跡 → 選帝侯宮殿(トリーア)
所要時間:1日
ルート2:ノルトライン=ヴェストファーレン州
ベンラート城(デュッセルドルフ) → シュパレンブルク(ビーレフェルト)
所要時間:1日〜1.5日
持ち物と服装
城巡りには以下の持ち物があると便利です:
- 歩きやすい靴(城跡は坂道や階段が多い)
- カメラ(写真撮影スポットが豊富)
- 羽織るもの(城内は冷えることがある)
- 水分補給用の飲み物
- 小銭(有料トイレや駐車場で必要)
4つの城の比較表
| 城名 | 築城年 | 様式 | 入場料 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ザールブルク城跡 | 964年 | 中世の要塞 | 無料 | 廃墟、景色が美しい |
| 選帝侯宮殿 | 16〜17世紀 | ロココ様式 | 無料(外観のみ) | ピンクの外観、写真映え |
| ベンラート城 | 1765〜1770年 | バロック様式 | 14ユーロ | 博物館、庭園が美しい |
| シュパレンブルク | 1240年頃 | 中世の要塞 | 無料(塔は有料) | 展望台、地下トンネル |
よくある質問
Q1. ドイツの城は全て見学できますか?
いいえ、全ての城が見学できるわけではありません。私有地や行政施設として使用されている城は内部見学ができないことがあります。事前にウェブサイトで確認することをおすすめします。
Q2. 英語のガイドはありますか?
大きな観光城では英語のガイドツアーやオーディオガイドが用意されていることが多いです。ただし、今回紹介したような小さな城では、ドイツ語のみの場合もあります。
Q3. 車がなくても訪問できますか?
ベンラート城とシュパレンブルクは公共交通機関でアクセス可能です。ザールブルク城跡は車があると便利ですが、トリーアからタクシーを利用する方法もあります。
Q4. 子連れでも楽しめますか?
はい、城巡りは子供も楽しめる観光です。特にシュパレンブルクの地下トンネル探検や、ベンラート城の広い庭園は子供に人気です。ただし、城跡は足場が悪い場所もあるため、小さなお子様連れの場合は注意が必要です。
Q5. 写真撮影は自由ですか?
外観や庭園の撮影は基本的に自由です。ただし、内部撮影が禁止されている場所もあるため、各施設のルールに従ってください。商業利用の場合は別途許可が必要です。
まとめ:ドイツの穴場古城の魅力

ドイツには2万以上の城や宮殿が点在しており、日本の城とは異なる独特の魅力があります。今回紹介した4つの城は、いずれも観光客が少ない穴場スポットでありながら、歴史的価値が高く、美しい景観を楽しめる場所です。
有名な城も素晴らしいですが、こうした小さな城にはゆっくりと歴史に浸れる静けさと、地元の人々との触れ合いがあります。ドイツ旅行の際には、定番の観光地だけでなく、こうした隠れた名城も訪れてみてください。
中世の要塞、バロック様式の宮殿、廃墟となった城跡など、それぞれに異なる魅力があり、訪れるたびに新しい発見があります。現地在住者として、これらの城の素晴らしさをぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。


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